2014年度講演会&事後交流会ワークショップ
講師:荻上チキさん《NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事》
「いじめの直し方」
2014年10月4日(土)福岡市中央市民センターホールにて開催
荻上先生
膨大なデータを紹介
ワークショップでは辛い経験を元にした意見も
テレビやラジオ、インターネットなどのメディアを駆使して、憲法問題や教育問題にも踏み込んで発言している評論家、若手の論客である荻上チキさん。
いじめを本気で減らすなら、起こらないように予防策をたてる。あてずっぽうや思いつきではなく、データの分析に基づいた実行可能な提案を出していくということを学びました。
【講演会より】
・2012年大津のいじめ自殺事件報道をきっかけに、NPOを創って、メディアを使って出来ることを最大限伸ばしていこうとミッションを立てた。いじめに関する様々な情報を入手できるウェブサイトの構築、学校に対する情報提供など。
・「命の生徒手帳プロジェクト」のすすめ。いじめの記録をとることが大切だと、学校側がしっかりアナウンスすることが大事。
・いじめ対策、報道が抑制や改善につながっていない問題点の指摘。
・いじめ被害を受けた人は、自尊心や社交性が傷つけられ、様々な理由によって能力が奪われてしまう。その結果、就職の機会でも経済損失を出してしまう。非正規雇用の増加=税収の減少は、国の損失である。その規模を計算し、いじめ対策を予算化すべき。
・被害を受けている人に対して、長期的なケアやいじめのキャンセルは重要だが、同時に加害者に対しても単に叱るだけではなくて、感情や自尊心をコントロールできるように、しっかりとコミュニケーションして信頼関係を作ることが必要。
・セクシャルマイノリティーに対するいじめの問題。社会の差別と迫害があるという教育を受けて、寛容さを身に付けることも抑止になる。
・少人数学級には賛成。教師の労働時間に対するクオリティを上げる意味で合理的な対応だ。また、他の国に比べ日本の教師は忙しい。そうした状況を改善する議論も必要。日本は他の国に比べて教育にお金を出さない。
・いじめ問題を個人や子どものしつけ問題に還元するのではなく、教育運営を教師がどうしたら良いか、保護者が政府や学校にどう要望を出せばいいのか、そもそもその要望を受けて対応できるか、そうした広い構造を論議してこなかった。根拠に基づいた対策を進めていくことが、これから求められている。
講演後は荻上さんを交えての交流会を開催。
「いじめを深刻化させないために私にできること」をテーマに、一人ひとりが考えて意見を出し合いました。
【感想】
・データを用いた説得力のある内容で、最近のいじめの傾向や、政策・メディア報道の問題点などが分かりやすかった。
・いじめは、主観的な個人の問題ではない。社会問題であり、いじめが起こりにくい社会環境をつくることが重要だと分かった。
・教員の労働条件も問題の解決に関わること、改めて考えさせられた。大人や社会ができることから始めていきたい。